不正咬合と治療

嚙み合わせとは？

噛み合わせは「咬合(こうごう)」とも言われ、上の歯と下の歯が接触すること、またはその状態を言います。

お口の中には歯のほかにもあごの骨や筋肉、舌や歯周組織などさまざまな器官があり、それぞれがうまく調和しはたらくことで、さまざまな機能を担っています。物を食べて飲み込む、発音する、表情をつくるなどです。また、「明眸皓歯(めいぼうこうし)」という言葉があるように、明るい目元と白く美しい歯はその人をより美しくみせる効果があります。

良い歯並びは良い噛み合わせを作り、これらのお口の能力を発揮させるためにとても重要な役割を果たします。それでは、「治療が必要な悪い歯並び、噛み合わせ」とは具体的にどのようなものをいうのでしょうか。

治療が必要な歯並び、噛み合わせとは？

上顎前突

日本人に多いタイプです。上の歯が前に傾斜しているタイプと、上あごそのものが前に突き出ているケースがあります。食べ物をよく噛めない、転んだときに歯が折れやすい、唇が切れやすいなどの問題が起こります。原因には遺伝、指しゃぶり、唇を噛むクセなどが挙げられます。

下顎前突

「受け口」とも呼ばれ、下の歯が上の歯より前に出ている状態です。上下の前歯の傾斜に原因がある場合と、下あごの骨格が大きすぎて、上の歯列とずれて噛み合わない場合とがあります。よく噛めない、発音が不明瞭になるなどの問題が起こります。原因には遺伝、上唇を噛むクセ、舌を突き出すクセなどが考えられます。

開咬

歯を噛み合わせようとしても、前歯や側方の歯が上下かみ合わず、開いている状態をいいます。物が噛み切れなかったり、重症の場合は奥歯しか噛み合わないこともあります。原因には幼児期の指しゃぶりや前歯で下唇や舌を噛むクセ、口呼吸などが考えられます。

叢生

歯がデコボコに生えたり、重なって生えている状胚をいいます。ほとんどは、あごが小さくて歯が生える場所が足りなくなって起こります。

過蓋咬合

上の前歯が下の前歯に深くかぶさっている状態をいいます。下の前歯が上の前歯に隠れて見えないこともあります。歯茎に炎症を起こしたり、下の前歯に負担がかかりやすく、顎関節症になりやすいです。原因は、虫歯などによる奥歯の欠損を放置しておいた結果です。

上下顎前突

上あごと下あごが正常な位置より前にある状態をいいます。口が閉じにくくなり、口の中が乾燥しやすくなります。原因は、遺伝や口呼吸が挙げられます

交叉咬合

上下の奥歯が横にずれて、噛み合わせが反対になっている状態です。原因には遺伝や、頬杖をつくクセ、片側で咬むクセなどが考えられます。

空隙歯列

「すきっ歯」とも言われ、歯が極端に小さかったり、歯の数が足りない、あるいは歯に比べてあごが大きいなどが原因で、歯と歯の間にすき間ができる状態をいいます。

歯並びや噛み合わせが悪いことで起こりうる悪影響

不正咬合の原因は？

1.遺伝の影響

お子様の顔や体形が両親に似るように、歯並びも遺伝の影響があります。生まれつき歯の数が足りない、歯の奇形なども遺伝の影響が考えられます。

2.あごの大小の問題

歯はあごの骨に並んで生えているので、歯に対してあごが大きければすきっ歯になりやすいですし、逆にあごが小さいと歯が並びきれずデコボコした歯並びになります。

3.虫歯の影響

乳歯は永久歯の生えてくる前の大切な土台です。この土台にある乳歯が虫歯になっても放置しておくと、永久歯が正しい位置に生えてこなかったり、斜めに生えてくる場合があります。

4.クセによる影響

鼻ではなく口で呼吸をすることを口呼吸と呼びますが、このクセがあるといつも口を開けた状態になります。すると、歯を唇で押さえる力が弱くなり、舌の位置が変わって歯を押す筋肉のバランスが崩れ、出っ歯やすきっ歯の原因になります。アレルギー性鼻炎など、何かしらの原因で鼻呼吸ができずにそうなっているケースも多いので、早めの適切な対応が求められます。

また、幼児期に指しゃぶりを長く続けていると、指の力が歯を動かしてしまい、出っ歯や開咬の原因になります。幼児は少なからず指しゃぶりをするものですが、適切な時期にちゃんとやめられているか、注意してみておくことが大切です。